日経トレンディの特集・住宅の基礎偏

日経トレンディは面白い企画をやることが多い雑誌です。
前にも、パワービルダーとハウスメーカーの仕様比較特集がありましたが、それは東北の仕様の参考にはならずに、こんなもんなんだなという程度の特集でした。
正直、地元のローコストメーカーとパワービルダーやパワービルダー同等品のメーカー規格品は同じ程度の性能なんだと感じました。
安いには理由があるなと・・・
よく、地元のローコストメーカーの広告などを見ますが、一般の方にはどううつるかわかりませんが、私には広告などはうまくみせているが、性能などに疑問を感じることがしばしばです。

そして、今回は姉歯事件をふまえて、基礎の特集でした。
某大手メーカーの基礎とパワービルダーの基礎の徹底比較でした。

これを見て感じたのですが、パワービルダーのほとんどが私はローコストなので基礎もRC基準で考えられていないはずとか色眼鏡をかけていましたが、まったく正反対の結果で、施工等をふくめて完全な基礎はないというトレンディの結果も、青森のほとんどのビルダーや工務店よりしっかりしていて、RC基準で考えられているようでした。

私の事務所は、木造の基礎でも当然ですが、RC基準で考えておりますので、地盤調査をして、構造計算して建物建物にあわせた基礎の鉄筋量、コンクリート量、基礎の形状を選びます。
パワービルダーの中には私の事務所と同じ考えて、地盤調査と構造計算をしっかりしているところも多く、構造計算していない場所でも、立ち上がりの巾150mm鉄筋のピッチ200mmピッチとRC基準の性能を満たしていたり、かなり近い性能の基礎がほとんどでした。

それに比べて、地場の施工業者はどうかといいますと・・・ベース巾450mm、ベース厚150mm、立ち上がり巾120mm鉄筋のピッチD10@300というのが主流で、RC基準を満たしていると言い難い基礎がほとんどです。
この基礎の基準は住宅金融公庫の仕様を採用しているのですが、この基礎の基準は平面立面ともに整形な2階建て木造住宅が一様な地盤上に建つという想定の基準での参考数値なのです。
実際は、建物と地盤ごとに基礎の形状をかえなくてはいけないのです。
整形な立面とは総二階、整形な平面とは凹凸が少ない(真四角のように)となり、一様な地盤とは著しい不同沈下がない地盤となるので、パイルや地盤改良のいらないところというふうになるわけですね。
青森市は一様な地盤なところが非常に少なくこの公庫基準を満たす基礎ができるところはほとんどといってないわけです・・・

じゃぁ、基礎の基準って建築基準法でさだめられているの?となると告示1347号に「構造種別によらず一体の鉄筋コンクリート造とし、建築物、敷地、地盤その他基礎に影響を与えるものの実況に応じて、土圧、水圧、その他荷重及び外力に対して、沈下や地盤の変形が建物に有害な影響を与えないように構造計算で確かめる」というようなことが記されていて、品確法でも、地盤調査を行い根拠をもって基礎形状を決定するとなっています。

皆様、どうですか?ご自分で平成12年以降建てた住宅、今プランなどを検討している住宅、現在進行中の現場をふまえてこのようなことをしっかりされているところに住宅を建てさせていますか?設計監理をしっかりとしてもらっていますか?
姉歯問題を二度と起こさないためには、建築士のモラル、施工業者のモラルもありますが、施主様のモラルだって大きくでてくるのです。
価格、デザイン、設備器具の性能ばかりでなく、こういったところに気をつけないとせっかく建てた住宅も、偽装マンションと同じ結果になりかねません。