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引退・引き継ぎ

建築をやって10年・・・色々な出会いと別れを繰り返します。
多くの業者は、自分で大きなミスをしたり、当事務所が大きな改革をすると人の悪評を言って去って行きますが・・・

今回、初めて筋道の通った形で、当事務所の仕事を引退する業者さんがでてきました。
左官工事担当の「木村左官」さんです。

私が、一番最初に設計監理を行った物件の、「光の住まい」からずっと10年間お付き合いをさせていただきました。
御年70歳を超える木村辰美さんが代表を務める会社です。
当時は、建築業界2年目建築士になって1年目の私・・・当時下請け業務などで2年間で現場を160件以上経験をして(お願いしてみせてもらったりして)多少は、同キャリアの建築士よりは腕があるぜ!!と思っていたのですが・・・

タイルの目地が何ミリかもわからないでタイルの割り付けをしていたり・・・(安藤忠雄さんのマネをして失敗)基礎の刷毛引が左官工事であることがわからなかったり・・・していて、専門書、図面、現場をつきあわせてはこうじゃない?ああじゃない?という私に木村さんは文句一つ言わないで、出来ること出来ないことを教えて頂いたり、ちょっとした納まりのコツを教えて頂きました。

建築士2年目になると、私も木造住宅ですと結構こなせるようになってきて木村さんに納まりや、商材の選定を相談できるレベルになり二人で、現場始まる前に打ち合わせして、タイルの目地は今度からこうしようとか、基礎断熱材はラスなしタイプより金網タイプに戻した方がクラックはいりにくいねとか、内部左官はこう処理しないときれいにいかないねとか、外部モルタルはこういう組み合わせでないと認定とれていないので、高くなるけどうちの事務所はこの組み合わせで行くから、青森にない材料だけど取り寄せてねとか・・・たくさんの時間を過ごさせて、多くのことを学ばせて頂きました。

東京出張の時には、弟さんが経営している都内のバーを紹介してくださり、ホテルの近くということもありお邪魔させて頂いたときには事前に色々と私のことを伝えて頂きまして、お食事もお酒も非常に美味しいものをいただきました。
弟さんともなかなかタイミングがあわないで、顔は出せないですが東京出張の時はやりとりをさせていただいたり、年賀などのやりとりをさせていただいております。

木村さんは、エコ展を開催しようとみんなで、集まって決起大会をしたときの日にちが誕生日で、70歳のバースデイを我々のチームでお祝いをしたこともあり、年を考えるとお若く、紳士的で非常にみんなに好かれていた職人さんでした。
職人としての矜恃もしっかりともっておられて・・・現場で自分たちで迷惑をかけて自分たちの都合でやめた業者が、当事務所の批判や悪口を言っているとそれはおかしいと言ってくださったりしていました。
正しいものは正しい、悪いものは悪い、出来ること出来ないことをはっきり言ってくださる姿勢は頭が下がります。そして、絶対に仕事をおとさない。この当たり前のことを私が知っている限りでは10年ですが・・・ずっとやり続けているのでお仕事がきれることなく70歳を越える今でも現役でいられたのでしょう。

その木村さんが、昨年度終わりくらいから私に悩みをうちあけておりました。
当事務所では、数年前からクラウドを使った現場の工程管理を行っております。70歳をこえる木村さんは努力しても今のサービスについていくことが難しいとおっしゃておりました。
また、若手経営陣や職人を揃えている当事務所のチームですが・・・コンプライアンスの問題、著作権や個人情報の取り扱い、養生問題など日々意見を出し合い進歩していく様子を見て、年寄りの自分がみんなの足をひっぱていくのではないか?と悩んでいました。

木村さんが出した結論が・・・
自分が稲見建築設計事務所とその若手チームに迷惑をかける前に、若手の左官業者さんとしっかりと引き継ぎをして稲見建築設計事務所を次のステップに行く体制をつくりたいということでした。
仕事条件がよいのでもったいないとおっしゃってくれましたが、私とよい関係のまま若手にバトンタッチしたいと言われました。
引き継ぎ先も、きちんと話し合い済みで引き継ぎ先を紹介しての卒業を選択しました。私としては、すごく寂しく残念なことでありますが・・・御世話に木村さんの意見も尊重したいと思いまして、オオデラ工務店の大寺さんやグリーンフォレストの平澤さんには相談しましたが、木村さんの意見を尊重して卒業することを承認し、新しいお仲間を迎え入れることにしました。

新しいことばかりする私に、10年間もお付き合いをして頂き左官の技術でないことも求めてきた私に70歳を越えても愚痴一つ言わないでついてきてくださって、本当に感謝しております。
感謝しても感謝しきれません。悪評言われている私の味方になりその悪評を否定してくださったり、エコ展でも多大な協力をしていただき本当に今まで、建築士の稲見公介の面倒を見てくださりありがとうございます。

木村さんは、まだもうちょっと業界にのこりやれる技術でやれる範囲のことをするとのことですが、どこかの現場でお会いしたときはよろしく御願いいたします。

そして・・・新しく入ってくる業者さん。まだ名前は伏せておきますが・・・木村さんお後を引き継いでよろしくお願いいたします。